目指すのは「名実ともにNo.1」
道路建設を通して未来に挑戦し続ける、大成ロテックの使命

目指すのは「名実ともにNo.1」道路建設を通して未来に挑戦し続ける、大成ロテックの使命

大成建設グループの中核を担う大成ロテック株式会社。私たちの生活の基盤である道路や空港の設計や施工、道路舗装の材料となるアスファルト合材の製造や販売も手掛け、建設業界において幅広い事業を展開しています。

「道路建設を軸に、世のため人のために仕事をすることが大成ロテックの使命だ」と話す代表の西田さんに、昨年創立60周年を迎えた同社への思い、今後注力していく事業分野についてお聞きしました。

インタビュイー:XX XXさん

西田 義則(にしだ よしのり)

1955年富山県小矢部市石動町出身。金沢大学工学部卒業後、1978年に大成建設株式会社に入社。2016年に大成ロテック株式会社の代表取締役社長に就任。一般社団法人日本道路建設業協会の会長も務める。
趣味はゴルフ。好きな食べ物は石動駅にある『麺類食堂』の天ぷらうどん。

60年にわたり培った大成ロテックの技術力

大成ロテックとはどんな会社なのですか?

西田義則さん(以下、西田):当社が属する大成建設グループの起源は、1873年に大倉喜八郎翁が設立した大倉組商会まで遡ります。1961年に、東京オリンピック(1964年開催)に向けて社会インフラの設備の充実が急がれている中、大成建設の道路部が独立し、道路建設工事を専門とする別会社として『大成道路株式会社』が設立されました。

1992年に道路だけでなく、新時代への新たな挑戦と決意の証として社名を『大成ロテック』へ変更しました。ロテックとは、ROAD TECHNOLOGYの合成語です。

主な事業として、道路工事・舗装工事の施工、アスファルト合材の製造・販売、コンクリートやアスファルトなどの産業廃棄物処理事業を行っています。

▲JR東京駅丸の内駅前広場の舗装は、自然石を使用した耐久性の高い石張り舗装技術『インジェクト工法』を採用。

 

近年、日本の道路は老朽化が一気に進み、道路にはひび割れやくぼみがあるところも少なくありません。そういった際に役立つ商品の開発もしています。『TRミックスアクア』は、くぼみに投入し水をかけて足で踏み固めるだけで、誰でも簡単に道路の舗装をすることができるすぐれものです。

また最近では企業として持続的成長をするために、新規事業にも力を入れています。たとえば、河川の高低差を利用してタービンを回し、新たにダムを造らないCO2の発生を抑えた発電方法など、再生可能エネルギーへの取り組みにも力を入れています。

ご自身の地元である富山県と会社とのつながりも感じているそうですね。

西田:そうなんです。当社のルーツである大倉組商会を立ち上げた大倉喜八郎は、富山県出身の実業家である安田善次郎や、昨年大河ドラマの主人公にもなった渋沢栄一とも親交が深い人物です。富山県出身の私にとっては、大倉喜八郎が創業した大成グループの会社の社長をしているのは何か縁があるなと感じています。

 

社長自ら現場へ。社員との対話が会社をつくる

西田さんが社長に就任されたのはどんな経緯だったのでしょう?

西田:私の父は土建業の小さな会社をやっていました。父の姿を見て土建の世界へ憧れを持っていた私は、大成建設に就職して修行を積んで会社を継ごうと思っていましたが、父の会社は倒産してしまいました。その後もずっと、経営者になりたいという思いはありましたね。

だからといって簡単に社長になれたわけではないんです(笑)。きっかけとなったのはある事件でした。当社は東日本大震災のあと、被災した高速道路の復旧工事などで談合を繰り返していたことが明らかとなり、営業停止処分を受けることになりました。業績は悪化し、創業以来最大の赤字に陥り、会社はどん底の状態。そこで「大成ロテックの再建」に抜擢されたのが私だったというわけです。

そうだったのですね…。そんな状況で会社のトップになるなんて、大変なプレッシャーだったと思います。

西田:そんなことないですよ。もうどん底ですから、上がるだけなんです。私は「会社を創り変える」と掲げて社員の意識改革から始めました。社会からの信頼を回復するには、道路というインフラを通じて「世のため、人のため」に仕事をしていくということを会社全体の共通認識として浸透させていく必要があります。

社長の業務として、日々どんなことをされているのでしょうか。

西田:椅子に座ってハンコばっかり押しています。冗談です(笑)。でもそれが社長のイメージだとすると、私は真逆でほとんど座っていないですね。座っていられないんです。

やっぱり私は現場の人間であった時代が長いですから、ものづくりの原点は現場だと思っています。日常的に工事の現場か自社の工場へ行って、状況を確認したり不満を聞いたり、叱咤激励したり社員と対話をします。それが、会社を変えていくことに一番繋がっていくと思うんです。

西田さんはとても優しそうな印象なのですが、社員の方を叱責することもありますか?

西田:それはもちろん、厳しいですよ。約束を守らなかったりとか、手を抜いたりすることがあれば、その原因をしっかり追及します。やはり約1300名の社員、その家族、そして協力業者、すべて人の生活がかかっていますからね。

会社を経営する上で、一番大事にしていることはどんなことでしょうか。

西田:グループの創業者である大倉喜八郎の言葉「責任と信用」と「進一層」の精神を大事にしています。

「進一層」とは、困難に出合ってもひるまずに、なお一層前に進むという意味です。近代産業の礎となる企業を次々と立ち上げた大倉喜八郎には到底及びませんが、会社の持続的成長を実現しながら、未来に向けて挑戦し続けることで、少しでも社会に貢献することができればと思っています。

建設業で働くことのやりがいや、大変なことを教えて下さい。

西田:やはり構造物や道路が完成し、皆さんに「便利になった」と喜んでもらえるときが何よりもやりがいを感じる瞬間だと思います。これは現場で頑張ってきた社員が一番感動が大きいと思いますね。大変なのは、少しもミスが許されない世界なので、日々緊張感があることだと思います。期限がある中で周囲の方々にも気を使いながら、事故を起こさず安全に工事を終えることが何より大事なことです。

 

脱炭素社会の実現へ、建設業界からのアプローチ

これから力を入れていきたい分野はありますか?

西田:やはり私たちの一番の使命である道路の施工と舗装は今後も、技術革新に力を入れて成長し続けていく必要があります。それから、政府は2050年にカーボンニュートラルの実現を宣言しています。今後力を入れてこれに対応していくべきなのは間違いありません。

札幌の合材工場では、アスファルトの製造に使用している燃料を重油からLPGに変え、グリーン電力を採用し、ダウンサイジングによる効率化で、CO2の排出を50%削減しました。

▲札幌合材工場ではCO2の排出50%削減に成功。脱炭素化へ向けて全国の工場の設備改修を順次進めている。

 

アスファルト自体は油でできていますが、それを植物由来のものにできないかという開発も進めています。成長過程でCO2を吸収する樹木に含まれる成分(リグニン)を材料とし、舗装に閉じ込めることで大気中に排出されるCO2を削減する技術です。

それから、建設業では大型重機を扱いますから、人の命に関わる大きな事故が起こることもあります。そういった事故を防ぐために、道路舗装用の重機をコンピュータで制御して無人化を目指しています。技術開発のための研究に時間をかけてこういった新しいことにも取り組んでいきたいですね。

では最後に、西田社長の夢を教えて下さい。

西田:大成ロテックが「名実ともに業界No.1」の会社になることです。さらに社員の処遇も業界No.1を目指し、業界を引っ張っていく若者を輩出するような魅力ある会社にしたいです。

その結果として、長年お世話になった建設業界や、生まれ故郷である富山県にも何か恩返しができればと夢見ています。私が卒業した小矢部市立大谷小学校の建設には、大谷米太郎が大きく貢献したそうです。偉大な大先輩方のように、私もいつか社会に貢献できるように今後も挑戦し続けていきたいです。

 

取材を終えて

会社の危機さえもチャンスと捉え、前進していく西田社長。その行動力の根底には、大倉喜八郎の言葉「進一層」の精神が受け継がれているのだと知りました。現場で働く社員との対話を何よりも大事にし、誠実に建設業に向き合う社長の姿に多くの方が突き動かされ、未来の大成ロテックを築き上げていくのだと感じました。

▼大成ロテックについてはこちら!

https://www.taiseirotec.co.jp/

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